あこがれの あのひとは
マジカル☆VIP!
参:個人授業
導術神兵殿の、荷物が部屋に届くのは、今日の午後イチの予定だったけれど、
あまりにうかれてしまって、午前12刻頃にはもう、
お住まいになる予定の部屋で、荷物の到着を待っていた。
本日の、僕の任務は、着いた荷物を、整理整頓をすること。
たったこれだけの作業なのに、
どうしよう、嬉しくて、顔がにやけている。
憧れだった、導術神兵にお会いできる。
それだけじゃない、これからずっと、近くに居られて、お世話をできる。
言葉を交わせる。もしかしたら、名前を覚えて、呼んでもらえるかもしれない。
金森二等、と、想像の中で、僕を呼ぶ導術神兵の姿は、
まだ、修身の教科書に載っていた小さな挿絵の荒い印刷のままだけれど、
あともう2刻もすれば、導術神兵と、直にご挨拶できるのだ。
「・・・・最初の一言は、何て言ったら良いのかなあ・・・・」
独り言なんて、寂しい人みたいだけれど、
今僕は、全然寂しくなんかなくて、逆に嬉しすぎるので、良いのだ。
******
導術神兵の、部屋付きの任を与ったのは、つい昨日の事だった。
導術の成績は中の上程度、家柄が良いでもないし、特に見目の良い訳でもない、
この、平々凡々とした僕に、なぜ、そんな名誉が降って沸いたのか、驚いた。
それでも、突然の任命が、嬉しくて、嬉しくて、
周りに居た戦友には、殊更はしゃいで自慢しまくったし、
遠く西州に住む両親には、久しぶりに手紙まで書いてしまった。
僕、金森 淳、17歳。
もしかしたら、人生、最初で最後かもしれない、
導術神兵の部屋付き、という、大任を与って、
正直、今、舞い上がってます。
******
午後13刻半すぎ。
部屋に届いた荷物は、木箱が2つと、行李が2つ、予想より少し多かった。
暫定の階級は、少佐だとお聞きしているが、
そのくらいになると、きっとお持ち物も多くなりがちなのだろう。
僕なんか、8人部屋の共同棚に、わずかの私物があるだけだ。
導術神兵は、そこら辺からして、違う。さすがだ。
荷物の整理は、行李と同じくらいの大きさの、木箱から始めた。
木箱の1つ目を開けると、勤務関連の書類と、書籍が入っていて、
未だ見ぬ導術神兵の、執務される姿を勝手に想像しながら、本棚を整理していったが、
外国語で書かれた物語本、高名そうな音楽家の本、難解な画集、
その他、僕なんかでは、到底読めないような、難しそうな色々がぎっしりと並んだ。
教養もかなりのお方だと、噂だが、聞いているから、
きっと導術神兵は、外国語のご本も軽々お読みになって、
芸術にも詳しくていらっしゃって、音楽にも明るい、
相当に風流なお方なのだろう。さすがだ。
行李の1つ目を開けると、筆記道具や洗面用具など、細かい私物が入っていた。
筆記道具は、使いやすいようにまとめて、机の1番上の引き出しに、
洗面用具は、寝室と扉続きになっている風呂場へ、それぞれ整理していったが、
高級そうな舶来物の万年筆や、香りつきの洒落た石鹸、馬毛のブラシなど、
何と、粋な小物が多いことだろう。
僕はまだ、色街などには行った事が無いけれど、
そういう場所では、粋人が、舶来の襦袢を好んで羽織ったりするらしいから、
導術神兵は、きっと色にも長けたお方でいらっしゃるのだ。さすがだ。
僕も、少しは風流の何たるかを勉強しておけば良かった。
例えば雑談に、色街の話をされても、今の僕では上手い返事ができない。
もしも、万が一、そんな事はありえないけれど、導術神兵に、色街に誘われたらどうしよう。
導術神兵の行く所であれば、どこへだって付いて行きたいけれど、でも、まさか、そんな。
まだ僕は二等兵だし、たかだか部屋付きだし、女にもてた記憶も無いし。
「そんなの、困ってしまいますよ・・・・」
妄想に独り言を言う、僕もそろそろ、痛い人だ。
木箱の2つ目を開けると、予備の軍服や冬物の軍靴が入っていた。
皺にならないように、1つ1つ洋服掛けに掛けて、棚にしまっていくが、
ちらりと見えた軍服の寸法が、僕より小さい、「三小」だった事に驚いた。
僕も、それほど雄々しい体型という訳ではないから、
恥ずかしながら、軍服や何かの寸法は全て「小」なのだけれど、
導術神兵は「三小」。想像より、だいぶ小柄な方なのかも知れない。
役者も裸足のようなお方だと、これまた噂だが、聞いているから、
きっと導術神兵は、白魚の指、優雅な柳腰、気品ある身のこなしで、
キネマから抜け出たような方なのだろう。さすがだ。
僕に話しかける導術神兵、
僕に笑いかける導術神兵、
僕の名前を呼ぶ導術神兵、
そんな、根拠の無い、浮かれ立った妄想が、止めても止めても、頭の中を駆け巡る。
昨日から、何度だって繰り返し考えて、その度にニヤニヤしているのだけれど、
冬物の軍服を畳んでいる今だって、止められないのだから、全く始末に終えない。
導術神兵が、1日の執務を終えられて、僕の整理した部屋にお戻りになる。
僕はお茶を、いや、粋な導術神兵は珈琲の方がお似合いかな、淹れたてのをお出しする。
『ありがとう金森二等、今日も大変に疲れたが、貴様の珈琲を飲むと元気になる』
昨日まで、想像の中の導術神兵は、修身の教科書の挿絵だったが、
今日の今では、小粋な白魚の指のキネマ男優で、つまり想像の限界まで、男前になっている。
『いえ、僕にできる事はこれくらいですから、本日もお疲れ様です』
『今日は導術の奴等に通心の要点を教えたのだがね、最近のは、全くなっちゃいない。
しかし、その点貴様は、良く出来ている。俺の気持ちを読んでいるのかね』
『ありがとうございます!でも、心を読んでいる訳では無いのです、
ただ、自分に出来る事は何か、いつも考えているだけで・・・・』
『そうか、それならばそれで、なかなかどうして、優秀だ』
そして導術神兵は、珈琲を一口飲んで、僕の方に向き直る。
『・・・・貴様が部屋付きで、本当に良かったよ、金森二等』
白い歯もキラリと、笑った顔は、もう市川団十郎だ。
そしていちいちニヤケる僕は、いよいよ可哀相な人だ。
それでも、甘ったるいため息は、止む事を知らないもので、
誰かこの思考を止めてくれ、いや、やっぱり止めないでくれ。
僕が導術神兵の傍にいる、たったそれだけの空想で、
僕は今、幸せなのだから。
昨日から、もう何度目か解らない、空想交じりのため息を、
痴呆みたいな顔をしてまた、はあ、と、続けながら、
最後の行李の蓋を、
開けた。
開けた、瞬間。
「・・・・え、・・・・?」
妄想の混じらない独り言は、
実に、一昨日ぶりだ。
それは、
疑問と動揺と、
焦燥と緊張と、
それから少しの、助平心と。
「な・・・・何で、女・・・・服が、・・・・ええ!?」
昨日から今までの中で、
僕は、この瞬間が一番、
変な顔をしていたと思う。
******
導術神兵と名高い、伝説の軍神の、
その大切なお持ち物の中から、
女物の洋服、一式が出てきたら、
びっくりしませんか。
僕は、びっくりしました。
そればもう、盛大に。
「え・・・・ど、どういう、これ、女の、」
何ていうのか解らない、女物の、
上下繋がったスカートとか、細身の羽織とか、
更に底の方には、何やら、下着らしきものも入っていて、
初めて見る女の下着に、まさか触れることも出来ず、
情け無いが僕はもう、それ以上、
視線も、手も、動かせなくなってしまった。
昨日から延々、だらしなくニヤケっぱなしだった頬は、
今や、冷や汗と共に、ざっくりと青褪めている。
この行李は、一体何だ。
導術神兵の私物か、まさか。
いくら、歌舞伎俳優のような導術神兵だって、軍人だ。少佐だ。軍神だ。
女形のような訳が無い、そんな趣味があるとしたら完全なる変質者だ。
宅配業者が、間違えて届けたものだろうか、否。
蓋に貼ってある、お届け先ご住所、の、紙は、間違いなくこの部屋だ。
じゃあ何だ、導術神兵のご家族のものか、違う。
ここは独身用官舎棟で、妻帯者や家庭持ちは、家族用の棟に入る決まりだ。
顔色を、青と赤の交互に、忙しく変えながら、
あ、とか、え、とか、動揺のうわ言を、
不測の事態にぶるぶる震える手をもって吐き出して、
傍から見れば、今僕は、完璧な危ない人だろう。
昨日、あんなにはしゃいで自慢した、同期の戦友らよ、
ゴメンなさい。
昨日、あんなに浮かれて手紙を出した、故郷の両親よ、
ゴメンなさい。
本日の、僕の任務は、
導術神兵の部屋付きとして、
届いた荷物を整理整頓すること。
こんな単純明快な任務を、
まさか、遂行できぬような事態が発生するとは、
万に一つも、思いませんでした。
僕、金森 淳。
17歳。女の経験は、まだありません。
こんな事なら、少しは粋のあれこれを、勉強しておくべきでした。
目の前の、女物の洋服、そして、下着が、
あまりに眩しく、恥ずかしく。
本日の任務は、
もう永遠に、
遂行できないような気がする。
******
じりじりと、汗ばむような陽光が、
初夏の皇都の、アスファルトとビル郡、そして、
新築されたばかりの、皇国陸軍本営、官舎の煉瓦を、
等しく焼きつけ、
少年は、夏。
大人になる。
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〜金森金森金森金森、もう好きすぎてバ・カ・み・た・い!〜
今更デフディバを歌えるほどに、最近は金森に恋をしすぎています。好きすぎてバカみたい!ほんとバカ!このバカ!豚!
皇国は、漫画の単行本から追っているのですが、3巻現在、金森様のフルネームがまだ出てきておらず、
テケトーにつけてしまったので、公式様の大本営発表が出され次第、修正しようと思っています。
正太郎、は、古今東西、癒し系ショタっ子少年の代名詞ですね。ハーパン!?履けばいいじゃん!似合うよ金森!最高金森!
こういう、少年の憧れからくる妄想、みたいのって、ほんと、それだけで肌つるっつるになる気しねー?まじ今叶美香だよ!
今はどうかわかりませんが、明治大正期は、ちょっとBL風味の「硬派」、が、まかり通っていた時代だったらしいので、
金森様は、本職ではないけれど、うっすらそのケも、あったりなかったりすると良いな。珍しー!みんなー!豚がBL語ってるよー!
こいけてっぺーと言い、血+のリクと言い、金森様と言い、最近ほんと、何か疲れてんのかな、みたいなね。
次回、王子様営業のお店ナンバーワンが、ピリッピリした空気をかもし出しつつ、ショータイムでーす!パンツに札束!
※2006年6月4日※
拍手からのお知らせより、金森の下の名前を、公式の「淳(じゅん)」に、修正。
やーん金森くん淳っていうんだー☆ピュアっぽーい!1文字とかオシャレっぽーい!可愛いー!と、
金森に関しての情報ならもう何でもかんでも祭になるので、今後ともこの駄目豚を宜しくお願いしますブー☆