とにかくとびきりの美少女さ
うかつに近寄れば感電死



ハイスクールララバイ




場の空気を読まない着信に、起こされた、午前9時。

せっかくの日曜日だし、昨夜の意味不明なキス事件もあったし、
日頃の疲れを睡眠で癒してしまいたかったのに、
高らかに鳴り響き、を覚醒を強いた、無情な電子音。

相手は、予想通り。

!いつまで寝ているんだ、こんなに天気が良いのに!
 買い物に出ないか?キルヒアイスは残務で本営に缶詰なんだ』

大きな窓から差し込む午前の陽は、
春らしさと、道に咲く花を満開にさせる、快晴。
買い物に誘われて思い出した。

そういえば、金曜は給料日だったのだ。




準備のためにに1時間待ってもらって、
待ち合わせしたショッピングモールは、快晴の日曜らしい賑わいを見せている。
密な喧騒と人ごみの中でも、はすぐに、
待ち合わせの相手、ラインハルトを見つけることができた。
なぜならこのような場所では、彼は常に、人の視線の先にいるから。

「遅いぞ!寝すぎだし、準備に時間をかけすぎだ!」

「部屋着のまま来るわけにもいかないでしょ、Tシャツにパーパンだよ?」

「おれは別に気にしない、の部屋着など、見慣れすぎた」

「あたしが気にするんだってば」

皆同一デザインの軍服を着ているときに見せる、
ラインハルトの後光を湛えるような魅力の輝きは、
私服になっても、その出力を衰えない。
季節感と、少しだけ流行も意識した、清潔感のあるファッション。
も今日は(当然だが)軍服ではなく、私服を身に纏っている。
顔は似ているが、軍人らしさのかけらも無いとラインハルトは、
周りにはデートを楽しむ、高校生同士の恋人にでも、見えているだろうか。

燦々たる日差しと、人々の視線を浴びて、
とラインハルトは日曜の街を歩き始めた。




__________





遠い地球時代から、現在に至るまで、
"給料日"という言葉は人々の財布の紐を緩くする。
とラインハルトは、お互いに貴族の家に生まれ、
幼くして軍属に入り、若くして高給を貰う階級に至り、
経済的に困窮した経験は少ないと言って良い。
だがそれでも、消費することをいつもより楽しく思ってしまうのは、
"給料日"という言葉が遺伝子にインプットでもされているのだろうか。

昼前から夕方になるまで、オーディンの街を、
歩いたり地下鉄に乗ったりで動き回った二人の手には、
消費の名残である店の袋が、数々下げられていた。
エスコートが既に空気のような存在になっているラインハルトの手には、
の荷物の半分も加算されている。

「ラインハルト、こっちの色の方が良いよ、春らしくて」

は何でも似合うな」

「これ、キルヒアイスに合いそうじゃない?画像送ってあげようか」

「そんな短いのは下品だ、膝までのやつにしろ!」

「靴はちょっとゆるめがいいよ、ぴったりは歩きにくい」

「良かったな、最後の1着が残ってて」

買い物を一段落させた午後7時、食事を共にした午後9時過ぎ。
ショッピングモールに程近いレストランを出た頃には、
消費と浪費が作り出す爽快な疲労感が、二人を支配していた。




昼間の快晴を物語るかのように、
夜空は街灯りと、少しだけ星も見える。

が泊まるホテルと、ラインハルトの住む官舎の分岐点まで、
ラインハルトはの分の荷物を、未だ代わりに持っていた。

「・・・・が官舎住まいなら、このまま一緒に帰れるのにな」

「そうだね、ホテル住まいってこういう所、ちょっと寂しいね」

当然ながらは、
水曜に起きたキルヒアイスとの事件のことを、
ラインハルトには話していない、否、話せていない。
は、ラインハルトとキルヒアイスがどんなに仲が良いか知っている。
思えば先週の金曜、ラインハルトにキスをされたことを、
キルヒアイスに相談してしまったのが誤りだったのかもしれない。

幼い頃からずっと続く、友という関係の3人。
は、その中での不穏分子になるわけにはいかないのだ。

「どうした?」

「え?いや、ううん、ちょっと考え事、・・・・残務のこととか」

「諜報は平時が激務だからな、今何か大変なのか?」

「フェザーン駐留の報告書が、まだ終わらないんだよ」

適当に取り繕ってしまった。
そんなもの、本当は火曜の時点で全て終了してしまっていたのに。

話しながらゆっくりと歩いていても、
やはり別れの分岐は近づく。
大通りから、小道を1本入って少し、
右に行けばの住まうホテルへの、
左に行けばラインハルトの住まう官舎への、
分かれ道はもうすぐここだ。

「・・・・もう着いてしまった」

ラインハルトが残念そうに子供っぽく言ったので、は笑った。
持ってもらっていた荷物を受け取り、礼も忘れない。

「荷物持ってくれてありがとう、さすがは紳士」

「淑女のためだからな」

奮わない冗談を飛ばして笑ったラインハルトは、
ふと、の頬に視線を落とす。
身長がさほど変わらなく、顔の高さも殆ど同じなので、
視線を落とす、というより、見つめる、といった動作に近かった。

「ラインハルト?あたしの顔、何かついてる?」

不思議に思ったが問うと、
ラインハルトは答える前に、
空いた左手を、の頬に、寄せた。
白い陶器のようだが、のそれより少しだけ骨っぽく、大きな手。

は、不審に思ってしまう。
なぜなら彼には、先週金曜の、前科があったから。

だが、の不安はすぐに解消された、

・・・・かのように見えた。




、頬に、・・・・睫毛がついてる」

「え?うそ、どこ?とって」

「うん」

の右頬を包む、ラインハルトの大きな左手。
親指が、目の下をそっと撫でる。
傍から見ると、泣いているを慰めているように見えたかもしれない。
それは涙を拭う動作に、至極似ていた。

「とれた?」

「・・・・うん」

良かった、ありがとう、とは言う。

しかし、ラインハルトの手は、そのままの位置で動かなかった。
サファイアのような青い瞳と、
それに良く似た、ダイアモンドのような銀の瞳が、至近距離で交わる。

まさか、この展開は。

「ラ、ラインハル」




言うが早いか。

身構えたの右頬、
今ラインハルトに睫毛を拭われた場所に、




ラインハルトの、唇が、
ほんの2秒だけ、触れた。

右の頬だけ、熱を持ったかのように、は感じた。




「・・・・淑女から、キャリーチップを頂いたまでだ」

頬から唇が離れたラインハルトは、
耳まで赤く染まって、青い瞳は銀の瞳から目を逸らした。
いたずらを叱られる、子供に似た表情だった。

「・・・・キスなんて、もうしないって、言ったでしょ」

「今のはキスじゃない」

「不条理」

「いいんだ、不条理でも」

目を逸らしたまま、赤い顔をして、
ラインハルトはさよならも言わずに官舎への道を走り去った。
やはりそれはお説教から逃げる子供の後姿だった。

重くなった荷物を手に、分岐点に取り残された




「何、なの、ほんとに」




右頬は、未だ熱い。



________




そしてとラインハルトの与り知らぬところで、
もう1人、心を震わせる青年がいた。

休日に読書をしていたカフェからの帰り道。
官舎に帰ろうと歩いていたら、
前方に見たことのある人影を発見してしまった。

忘れもしない、彼の恋する銀色の影。

職場でよく見る金色の影が、隣に居る。
二人で買い物の帰りだろうか、たくさんの荷物を手に持って。

後姿で、その表情は見えないが、




金色の影が、銀色の影の、
涙を拭って、キスをした。




「・・・・閣下、恋人はいないのではなかったのですか」




砂色の瞳は、金銀二つの影を映し、

ミュラーの心は驚愕に揺れる。










〜銀河後書き伝説〜・・・・え?ぇえ!?編〜

家政婦は見た!うっわもう大好きこういう若人の勘違い。中学生日記か。え?スクールウォーズ

今回ちょっと短い。なぜならガンガン削ったから。
ここまでカットカット入ったの初めてだよ。気分は井筒だった。鬼監督だよ。パッチギ上等
ほんとはピアスの話とかメシの話とかミュラーの読書の話があったんだよ。
でも間延びすっからカットカットさ。チッ!場ぁ持たねーよ。惜しかったな。文貧乏さ俺は。

あれ?よく考えたらヒロイン、買い物か映画見るか茶しばくかしか、してなくない?
ちゃんと仕事してんの?あれ?うん。してるよきっと、どこかで
酒飲む描写が多すぎるよこのシリーズ。海鷲何回出したかわっかんねーもん。何これ、飲酒小説?

ハイ、次回も揺らします。混ぜっ返します。キャッホウ!やる気!