壊れそうなものばかり 集めてしまうよ。



ガラスの十代。



そこに生活する人々と動植物に優しく微笑みかける太陽と、
それに反抗するように肌寒い風が吹く、春日和。



ここ、銀河帝国首都、オーディン最大の国際宇宙間ターミナルは、
今日も引っ切り無しに客船や輸送船を吐き出し、迎え入れている。
騒音公害を考慮して、都心から内海を挟む形に引かれた、滑走路郡の1本に、
たくさんの企業広告が機体にペイントされた、1機の大型客船が着陸した。

「あ、RALのボーイング1771です!
 ラインハルト様、きっとあれですよ」

「ああ、では到着ゲートに行こう。きっと大荷物だろうな」

滑走する機体を見渡せるように、
3メートルもの高さを持って作られた、ガラス張りの展望フロアに、
ジャケットを羽織った優美な金髪の青年、ラインハルトと、
セーターを着た穏やかな赤毛の青年、キルヒアイスが立っている。

二人の、取り分けラインハルトの美しさは、居るだけでその光を放ち、
すれ違う年頃の少女や、少年、壮年の女性や、
客船の写真を撮りに来ていた若いカメラマンまでが、
その存在の迫力に、羨望と嫉妬と憧憬の視線を送っている。
二人が展望フロアから到着ゲートに足を向けている時でさえ、
視線の本数は増えることは有っても減ることはなかった。

ラインハルトとキルヒアイスは沢山の視線を背負いながら、
それを全く意に介さずゲートに向かう。
普段より、少し早足になっているのは、逸る心の現われだろうか。
こういう所が、二人の、外面的美しさに反比例する幼い魅力の1つかもしれない。

「あいつめ、また背が伸びていたら今度こそ絶交だ!
 いや、でも俺ももう去年から4センチも伸びたからな。
 今度こそ俺が勝っているはずだ」

「そう言って、絶交した試しありませんね。
 今日だって、口で文句を言いながら、
 身体では大喜びで自らお出迎えに来ています」

「人間、背が伸びると態度まで大きくなるものなのか、キルヒアイス?
 俺はただ、あいつの長旅で疲れきった顔をからかいに来ただけだ!」

「では、私もお供しますよ」

軽口は叩き合うものの、自然と零れる笑みを隠きれず、
ゲートに着けば、扉から1番近い位置を陣取って、
まるで主人の帰りを玄関先で待つ2匹の仔犬だった。

ゲートが開いて旅客達がどっと吐き出される。
大きなトランクを持つ仕事帰り風の男性や、
お土産の束を抱えた若い女性のグループ。
その人々の群れの中から、ラインハルトが先に、発見した。



!」



人垣を掻き分けて走った美しいテノールは、見事その的に当たり、
綺麗な少女が1人、顔を上げた。

「ラインハルト!・・・・キルヒアイスも!」

調律したてのピアノのような若いソプラノの持ち主の名は、
本来は間に「フォン」が着くが、本人は名乗るときに敢えてそれを省く。
動く度に揺れる銀色の髪と、灰色というには透明すぎる銀色の瞳。
すらりと伸びた四肢は白く華奢で、流行だがセンスの良い服で包んでいる。
二人だけでも充分に人目を引いていたラインハルトとキルヒアイスに、
もう1人加わっただけで、美しさの数値は2乗され、
それによって視線の数は3乗された。
方々で、わあ綺麗、モデルさんかなあ、素敵ね、等の囁きが漏れる。

「遅かったぞ!1時間も待った。俺たちを待たせるなんて!」

「文句なら機長に言ってよ。・・・・でも嬉しい!
 迎えに来てくれたんだ!ありがとうね!」

「本当は2時間待ったんですよ。
 でも待つ間も楽しそうで・・・・私も、会えるのを楽しみにしていました」

「よ、余計なことを言うなキルヒアイス!」

「ふふ、あたしも!本当は1本早い便で来たかったんだけど、席取れなくて」

当然のようにラインハルトは少女のキャリーバッグを奪い、
キルヒアイスは手荷物にしていたサブバッグを受け取る。
幼い頃から質の良い教育を受けている二人にとって、エスコートは呼吸に等しい。

「1年ぶりか。もう、俺のほうが背が高いな・・・・?!
 ・・・・、まさかまた伸びたのか?!」

「まさか!ちゃんと見てよ、今日はちょっとヒール履いてるんだってば」

「さすがにもうラインハルト様の方が高いですよね」

「今におまえたち2人を見下ろして喋ってやるからな」

「それは・・・・キルヒアイス、今、何センチ?」

「185、くらいだったと思います」

「・・・・そりゃーまた。ラインハルト、頑張って、道は険しいぞ」

「畜生!靴を脱げ!上げ底はずるいぞ!」

そのまま3人は軽口や再会を喜びながら、
待たせておいた、軍部お抱えの運転手付き高級地上車に乗り込んだ。
ラインハルトは少将、キルヒアイスは少佐であり、
本来プライベートにおいてはこのような高待遇は施されない。
だが今日は、の本部一時帰還ということで、
体面上、軍部が予算を割いて高級車を回したのだった。
ベンチ状になった後部座席に3人はコの字型に着座する。
高級車はエンジン音も静かに、首都オーディンを目指し走り始めた。

「・・・・どうだった、フェザーンの様子は」

「どこも変わんないよ。自治領主のオジサンが毎日こそこそしてるくらいで」

「あの方は政治家としても経営者としても敏腕だと聞きますね」

「万能を誇る我が軍の諜報局を持っても、フェザーン内部は狐の巣、か?
 諜報局副総長・フォン・大将閣下?」

「うむ、狐を縛すにはまず狐の巣に入る、即ち!
 銀河統一のためには捨て身の覚悟をするのが我が諜報局の魂である!」

「・・・・あんまり似てませんね。総長閣下のマネ」

「あたしだってあんまり聞いたこと無いんだってば!ハンディ頂戴よ!」

「いや、・・・・今の総長閣下であったのが判っただけでも勲章ものだキルヒアイス」

「ひど!」

笑ったり、からかったりしながら、
フェザーンで今人気のお菓子の話や、最近の首都の流行の話、
戦場で出会ったブラックな小噺等で盛り上がりながら、高級車は進む。

は、異例の出世と異例の経歴の持ち主で、
銀河帝国軍において、年齢は下から数えた方が早く、階級は上から数えた方が早い。
諜報局は、その任務内容の特殊性と専門性から、
他の兵士のように士官学校を卒業して入隊する他にも多々入り口はあり、
現在、下は15歳の少年から、上は82歳の老紳士まで、
任務を遂行する際に潜入先に怪しまれぬよう、幅広い年齢層、人物層を誇っているが、
12歳で軍籍に入り、去年17歳の誕生日3日前までに、大将まで上り詰めたのは、
特別な環境を持つ諜報局ということを念頭においても、やはり特異だった。
より年上のより階級の低い提督達の中には、その出世を妬むものもいるが、
の任務の完璧さと、戦場では無いが謀略の前線での武勲を見て、
渋々閉口するばかりだった。

去年の春から1年間、はフェザーンに駐留していた。
政治家の収賄から、商人の専横な利益独占、果ては場末のドラッグディーラーまで、
ありとあらゆる非合法を、それこそ事務的に証拠を揃えて燻し出す。
が1年間さらりと仕事をこなしただで、被告席に座らされた者は、
政治家が6人、商人が17人、その他に11人もいて、
法に従って生きるものには大いに賞賛され、
法を欺いて生きるものには大いに嫌われて、ここオーディンに帰還した。

働き始めの頃は、合法的に策略や陰謀を巡らせて、
例え悪人であっても、人を裁きの谷に突き落とすことに、
かなりの抵抗と、自己嫌悪を感じていたが、
准将になったあたりから割り切った。労働として認められるチクリ屋だ、と。
繁華街の路地裏で性を売る人もいれば、贋作や盗品を転売する人も居る。
職業として成り立つ労働は、それが必要とされるから職業であるのだ。
職業貴賎の念を持つこと自体、自分の理念に適っていないのに、
何故、自分自身の職業を貴賎する意味があるのか。

それでもやっぱり、心に生まれた泥は、攪拌されることはなくても沈殿して残る。
はたまに、艦隊対艦隊で堂々と戦うラインハルトやキルヒアイスを眩しく思った。

高級車はしとやかな運転で、もう首都オーディンのインターチェンジに近づいてきた。

、今日はこのまま本部の方に行くのか?」

「ううん、今日は行かなくていいんだ。人事部が気きかせてくれたみたい。
 報告会とか書類雑務は月曜からでいいって」

「じゃあゆっくりできるんですね、良かったですねラインハルト様」

「ああ、今夜は姉上も交えて一緒に夕飯をとろうと思っていたんだ。
 姉上が、久々にに会いたいと言っていたしな」

「アンネローゼ様!うれしい!じゃあトランクからお土産掘り起こさなきゃ!」

「土産は、姉上だけにか?俺たちに対して冷たいんじゃないのか」

「まさか!ちゃんと二人にも買ってきてあるよ!
 ・・・・オミヤゲクダサイ、様、って言ってくれたらあげる」

「な、何だ!言うか!そんなもの!」

「お土産ください様」

「じゃーキルヒアイスにはあげよーっと」

「ず、ずるいぞキルヒアイス!
 ・・・・お、おみやげくださいさま、
 ほら!これで満足か!」

「あはは!ごめんごめん!さっき持ってたサブバッグ、
 あれほとんど二人宛だから!」

高級車のエンジン音は三人の談笑を邪魔せず、
首都オーディンの中心地に近い、中堅の老舗ホテルのエントランスに入っていく。
荷物や上着を纏め始めたに、残る二人が不思議な顔をした。

「・・・・?、ホテルに寄るんですか?」

「ううん?ここに泊まるんだよ?」

「何故だ?官舎に部屋があっただろう?」

「ああ、あの部屋ね、1年もいなくなったら部屋の管理費と近侍の人件費かかるって、
 転勤扱いで引き払われちゃったの。だからこっちにいる2ヶ月はホテル住まい」

「そんな所で経費削減されてるんですね」

「諜報局の経理もケチ臭いな」

「まあいいよ、2ヶ月小説家みたいな生活できると思えば」

高級車が停まると同時に、よく教育されたドアマンが出てきて、
ドアを開けを促した。その間にベルマンがトランクから荷物を運び出す。

「じゃあ食事の時に迎えに来る」

「事前にヴィジホンを入れますから」

「うん、準備して待ってるね」




____________





老舗という呼び名にふさわしい年老いた外観から予想を外して、
宛がわれた部屋は意外に広く落ち着いたインテリアで、窓からの眺めも悪くない。

「まったく、オーディンヒルトンのスイートでもとれっての」

文句たらたらに独り言ちてはみたものの、それは単なるポーズにすぎなかった。

トランクとサブバッグを開いて、服はクローゼットに、
書類やデスクコンピューターは机近くに、お土産を別のバッグに整理して、
バスルームにシャワーを浴びに行く。

シャワーから上がりアメニティのバスローブを羽織って、
夕食に何を着て行こうかクローゼットを開けた所で、携帯ヴィジホンが着信を知らせた。

「はいはい、今出ます・・・・ラインハルト?もう早行くの?」

濡れ髪にバスローブでラインハルトの前に出る勇気を持つ者は、
銀河広しと云えどくらいしかいない、
と、以前キルヒアイスがそうからかったのを思い出した。
その時は笑ったが、そういえば今まで何度もラインハルトとヴィジホンで会話しているが、
どういう訳かタイミングが狙ったように悪いことが多い気がする。今日もだ。

モニタをオンにすると、ラインハルトが、何故か意気消沈した面持ちで、映った。

「ラインハルト?どうしたの?」

『・・・・、・・・・姉上が、風邪を引かれて・・・・今日の晩餐は延期だ』

ラインハルトの沈痛な様子に合点がいった。
軍で任務に就き、戦場と執務室でしか彼を知らないものは、
彼がプライベートでたまに見せる、少年のような表情に驚くと思われるが、
こと姉アンネローゼに関しては、少年を通り越して最早幼児だ。
今までラインハルトがこの様に沈んだ場合、
優しく慰めるのがキルヒアイスの役目で、元気付けるのがの役目だった。

「そっか、残念だったね・・・・でもほら!治ったらまた行けば良いよ!」

『・・・・うん』

「あ、あのね、アンネローゼ様にあたし、ワインのお土産もあるの!
 ほら、ワインて時間置いた方が美味しいし!
 今度会うときに飲み頃になってるかもよ!」

1週間2週間置いた所でその味に変化何も無いかと思われたが、
今はそれは関係無かった。

「あ、あたし久々にあそこ行きたいな!官舎の近くにある、
 ブルスケッタが美味しい、何だっけ、あの店!」

『・・・・海鷲』

「そう!そこ!ね!本祭は延期だけど、前夜祭があってもいいじゃない!
 キルヒアイスと3人でさ、行こ?」

『・・・・ああ、そうだな、行こうか。
 では7時に、店で。』

「了解!」

心なしか生気を取り戻したラインハルトが通信を切って、
はアンネローゼとの晩餐のために考えていた服装から、
街の酒場に行く服装を考え直し始めた。




____________





官舎にほど近い高級仕官優先の酒場「海鷲」は、
金曜の夜ということもあって、景気良く繁盛していた。
フェザーンの流行からオーディンの流行に着替えたが店のドアを開けると、
少し奥まったL字のソファ席にサブソファを1つ足して、
ラインハルトとキルヒアイスが、こっちだと、手を振った。
仕官優先の店だからか、軍服のままの男性が目立つ中、
私服のは、歩く度に客だけでなく店員までをも振り返らせる。それは服のせいだけでは無い。
キルヒアイスが、座っていた背もたれ付きのソファをに勧めて、
自分はサブソファに座った。こんな所も、彼は気遣いが滲み出る。

「よし、では乾杯しよう」

「わあーお酒久々!飲むぞー!」

、飲みすぎないで下さいよ?前に抱き上げて帰ったの、大変だったんですから」

「何?そんなことがあったのか?おれは知らないぞ?」

「以前ラインハルト様がヴェルナーに視察出張していたときに・・・・」

「キルヒアイス!内緒にしといてって言ったのに!」

「聞かせろキルヒアイス!」

丁度良いタイミングで3つのグラスが運ばれてきて、
の過去の失敗談は何とかうやむやにされた。
約1名納得のいかない顔をしていたが、
とりあえず3人は、の帰還を祝して3つのグラスを鳴らした。

「着替えてきたんですね、今の服もよくお似合いです」

「ふふ、ありがと。1年間フェザーンの流行漬けだったから、
 こっちの勘を取り戻すの、ちょっと悩んじゃったよ」

「キルヒアイスも少しは、の服に気を使う所、見習ったほうがいいな」

「え?そうですか?」

「そうだ、おれがたまの休みに買い物に誘っても全然ついてこないじゃないか」

「ラインハルトの買い物なんてあたしだって着いていけないよ。
 ラインハルトは似合うから良いけど、行く店行く店みんなハイファッションで」

「私は下品にならず着られれば何でもいいんです」

「つまらん!」

「かっこいいのにもったいないよね」

、こいつが今陰で何て呼ばれてるか知ってるか?
 『ハンサムな赤毛さん』だぞ。モテるんだ」

「や、止めて下さいよラインハルト様!」

パルジャンミーノのグリーンサラダが半分位になった所で、
が思い出したように、持ってきたバッグを開けた。
大小様々な包みや箱を1つ1つ選り分けて各々に手渡していく。

「出すの忘れてたんだ!これ、フェザーン土産ね」

「こ、こんなにたくさんあるんですか」

「全然だよ?自分の分はこの3倍くらい買ってきちゃったし」

「買い物ばかりで仕事はしてきたのか?でも、まあ、・・・・あ、ありがとう、だ」

口先だけの世辞や慇懃無礼な態度ならいくらでもとれるくせに、
ラインハルトは素直な言葉だけを照れる癖がある。

包みを開けながら、トマトのブルスケッタを分け合う。
グラスは3人とも、もう4本目に突入している。

「そういえば、私の後輩が以前していた話なんですけど」

「うん?」

「ラインハルト様と、の顔って、似ていますね、と」

「ええ!?だれが!だれと!?」
「は!?何だそれは!」

二人同時に、同じ表情で否定した、とキルヒアイスには見えた。

「いえ、本当に話題の一端だっただけですから、気になさることは無いんですが・・・・
 でも私も、実はかなりそう思う所もあったんですよ」

「何それ、全然似てないよー!あたしこんなにキラキラしてないもん」

「おれはこんな顔をしているのか?こんなに華奢か?」

「いえ、顔がそれ程そっくりという訳では無いんですが、なんと言うか、
 造りが似ているんでしょうか、上手く表現できませんが」

「・・・・姉上に、似ているなと思った事は、そういえばあったな」

「あたしが?」

「ああ、・・・・姉上に似ていると言う事は、おれにも似ていると言う事か、気付かなかった」

「アンネローゼ様に似ているって言われるのは光栄だけど、
 ラインハルトに似ているのは心外だわ!あたしはもっと柔らかい顔してるはず」

「と、当然だ!おれだってこんな細くて白いやつに似ていると言われるのは拒否する!
 おれは軍人だ、もっと凛々しくて雄々しいぞ」

キルヒアイスが微笑みながらグラスに口を付けた。

その後も、下らない噂話や最近結婚した同僚の話などに花を咲かせながら、
少々アルコールが回って、店を出る頃には、もう夜半が近かった。
冷えた春の夜風が、火照った肌を撫でていく。

「けっこう飲んでしまいましたね、大丈夫ですか?」

「ふふ、あたしには前科があるから心配?でも大丈夫、ありがと」

「車を呼ぶのか?」

「ううん、酔い覚ましに歩くよ。そんなに遠く無いし」

「送って行く。キルヒアイス、先に戻っていて良いぞ」

「はい」

「ええ?いいよ、ここからだったら官舎の方が近いでしょ?」

「いくらでも酔っ払い女性の一人歩きだ。物好きがいないとも限らん」

「どういう意味よ!」

キルヒアイスは2人を見送って官舎のある並木道へ、
とラインハルトはキルヒアイスを見送ってホテルのある大通りへそれぞれ歩き出した。

大通りは夜半が近いにも関わらずタクシーやバス、まだ開けている店に、
通りを歩く人で、静かではなく、金曜日の首都らしい賑わいを見せていた。
並んで歩く美しい二人に、すれ違う人々が視線を投げかけていく。

「ねえ、さっきの話の続きじゃないけど、こうやって並んで歩いたら兄妹に見えるのかな」

「同い年だからな、もしかしたらあまり似てない双子に見えるかもしれない」

歩く二人がショーウィンドウに映る。言われてみれば確かに、本当に似ている。

「兄妹か・・・・キルヒアイスの顔に生まれたかったな」

「何で?キルヒアイスもかっこいいけど、ラインハルトも充分綺麗だよ?」

「そういう意味じゃない!」

「あ、判った。大丈夫!まだ背は伸びるって!他人の成長気にしても始まらないよ!」

「・・・・ああ、そう、そうだな」

笑って元気付けるが目が前を向いたときに、
ラインハルトが一瞬寂しそうな目で彼女を見たことに、気付いた者はいない。

「そういえばね、フェザーンの人って土地柄のせいかな、すごく積極的なんだよ」

「?何だ?」

「チョコレートと花束持って、交際、申し込まれたりした」

「・・・・な、それで、どうしたんだ!?まさか、受けたのか?!」

「まさか!そんな時間無いし。それに好きじゃない人と交際なんてできないよ」

露骨に動揺して、露骨に安堵してしまった。
それにが気付いていないらしかった事に、また安堵する。
何だ、おれは。が誰かと交際しようと、おれには何の関係も無いはずじゃないか。
心に浮かんだ靄のような焦りは、そういえばさっき、
キルヒアイスが酔いつぶれた彼女を抱き上げて帰った話を聞いたときにも、薄ら浮かんだ靄だった。

「ラインハルトはどうなの?あたしがいない間、良い人できた?」

「そんなもの、おれにはいらない。姉上と友がいれば他は邪魔なだけだ」

「ふふ、全銀河のラインハルトに恋する子、それ聞いたらショックだろうなあ」

そのショックを受ける女性の中に、目の前の彼女は入っているんだろうか。

街並みは喧騒から閑静に変わっていき、道行く人が完全に途絶えたところで、
ホテルのエントランスに向かう緩やかな坂道が見えてきた。
坂道にはよく整備された植物が間接照明に照らされて、
昼に見たときは古いだけだったホテル外観も、計算された照明でアンティークな趣がある。

「送ってくれてありがとう。ここから先はさすがにもう安全でしょ」

「ああ、身辺が一段落したら教えてくれ。今度は姉上と共に誘う」

「うん、ラインハルトも気をつけて帰ってね、じゃあまた!」

銀髪を揺らしてが踵を返す。

この時、ラインハルトがとった行動は、
ラインハルト自身にも、理解不能なものだった。




!」




考えるより先に、声が出て、足が踏み出されて、
少し離れていたの、細い手首を、ラインハルトの大きな手が掴む。




「な、何、どう」

驚いて振り向いたは、それを、避けるタイミングを見出せなかった。




何故なら、

振り向いた時にはもう、ラインハルトの顔が至近距離にあって、




唇が、一瞬だけ、暖かくなった。




「ラ、イン、ハルト?」




「な、何でもない。・・・・酔って、酔っているんだ!
 それに、・・・・挨拶だ!が、帰還したから、その挨拶代わりだ!」

「そ、そう・・・・びっくりしたよ」

「・・・・帰る」




もと来た道を小走りに去ったラインハルトは、耳まで赤かった。
それは、酒のせいだけでは無い。




雑然とした大通りに戻ってきたラインハルトは、
自分のとった行動の一連に自問自答していた。
なぜおれはあんなことをしたんだ。
はキルヒアイスと同じ大切な、友だ。
あんなことをして、これではまるで。

まるで。



に恋をしているみたいじゃないか。



官舎に戻って、いつもならキルヒアイスにおやすみを言うはずが、
今夜は何となく、キルヒアイスの顔を見られない気がして、
部屋に入るなり早々にベッドに入った。
早く眠ってしまいたいと思っていたのに、眠りの神は1時を過ぎても訪れなかった。

無理矢理に瞼を閉じると、
の驚いた顔だけが、繰り返し再生された。










〜銀河言い訳伝説〜羞恥編〜

リ・リ・カ・ル!!!そしてベ・タ・ベ・タ!!!
もう恥にまみれて死んじゃうかもしんまい。新手の羞恥プレイかな。ナウい

小説の二次創作を書くときは原作の文体にできるだけ近づけて書きたいと思ってるんだけんども、
今回もあえなく撃沈。
つくづく、ジークカイザーヨシキング(原作者)のパゥワーを思い知りました。奴、天才
ここまで漢字使ったのも初めてじゃし、ここまで比喩使いまくったのも初めて。
こりゃーエロ書くときに、また蕾だの花びらだの使って比喩比喩したエロになるんかな。

キャラに萌え惚れするときは、いつも、
そのキャラが本当に存在して、本当に生きていると思ってしまう半病気な癖があって、
そいつはいつもどこで服買ってるんかなーとかカフェ入ったら何頼むのかなーとか。
何が似合うかなって、メンズのファッション誌も買う。マイ萌えはファッションから入る。病だ。

それも相俟って今回のヒロインのデフォルトは「ココ・シャネル」。
管理人、ロリコンバイなのに、ラインハルトの病的な美しさにガチでタメ張れる様、
生まれて初めて背の高いモデル体型の美女書いちゃったよ。
それで競っても素負けする。あいつすげえ。まじ美しい。ハルト。

え、何この話。つ、続いちゃうの!?